舞う風のように


少しした時だった。
殺気が動いた。



…来るか?






今ちょうど、小野寺は厠へ行っている。
池田屋の厠は殺気とは反対側にあるし、外へ続く道が近い。


上手くやれば逃げる事が出来るだろう。

これで安心だ。俺は俺一人の事だけ考えれば良いのだから。







急に階下が騒がしくなった。



「新選組だ!!御用改めである!!手向かう者は、容赦なく斬り捨てる!!!」


そんな怒鳴り声。

複数の足跡。




ククッと笑みが漏れた。


「随分と潔い事だ。」




一人の時は、敬語を外すようにしている。
普段敬語を使っているのは、素を出さないようにするため。




周りの部屋が騒がしい。

他の部屋の者達は新選組と戦うために部屋から出て行くようだ。



だがきっと、そいつらより新選組の方が強い。
やはり数では新選組よりも長州の方が有利だろうが、捕まる者や討ち取られる者、斬り殺される者は多いだろう。




「俺の役目は二日で終わりか。」



俺はここから動く気はない。
慌てて出て行ったって、人が多すぎて上手く刀を振り回せないだろうし。





まぁ、刀の腕にはかなり自信がある。



あれから、かなり鍛錬をつんだ。
会津からの命令で人斬りもやった。


負ける気はしない。





ま、巻き込まれて死なないように、頑張りますか。


< 31 / 68 >

この作品をシェア

pagetop