舞う風のように
少しした時だった。
殺気が動いた。
…来るか?
今ちょうど、小野寺は厠へ行っている。
池田屋の厠は殺気とは反対側にあるし、外へ続く道が近い。
上手くやれば逃げる事が出来るだろう。
これで安心だ。俺は俺一人の事だけ考えれば良いのだから。
急に階下が騒がしくなった。
「新選組だ!!御用改めである!!手向かう者は、容赦なく斬り捨てる!!!」
そんな怒鳴り声。
複数の足跡。
ククッと笑みが漏れた。
「随分と潔い事だ。」
一人の時は、敬語を外すようにしている。
普段敬語を使っているのは、素を出さないようにするため。
周りの部屋が騒がしい。
他の部屋の者達は新選組と戦うために部屋から出て行くようだ。
だがきっと、そいつらより新選組の方が強い。
やはり数では新選組よりも長州の方が有利だろうが、捕まる者や討ち取られる者、斬り殺される者は多いだろう。
「俺の役目は二日で終わりか。」
俺はここから動く気はない。
慌てて出て行ったって、人が多すぎて上手く刀を振り回せないだろうし。
まぁ、刀の腕にはかなり自信がある。
あれから、かなり鍛錬をつんだ。
会津からの命令で人斬りもやった。
負ける気はしない。
ま、巻き込まれて死なないように、頑張りますか。