誰もしらない世界
一方歩は藤田と夜の街をさ迷っていた。
静かな居酒屋へ入る。
一番奥の個室の席へ腰かける。

藤田(なにのむ?)

歩(一番強いので。)

そう歩は言った後、ふとこの席に言葉にできないなつかしさを覚えた。

あれ…どこかで見たような光景だなぁ…
はじめてきたはずなのに、藤田さんにどうしてこんなにも親近感が沸いてくるのだろう。

歩は一人違う空気を感じていた。
挙動不審の歩に藤田は話しかける。

藤田(あれ、ひょっとしてよってる?)

歩(いえ、あ、あの…藤田さんって)

藤田(どうしたの?)

歩(私とどこかでお会いしませんでした?ここの居酒屋初めてですよね?)

藤田は不思議な顔をする。
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