誰もしらない世界

れいかは背を向けてドアの前で立ち止まる。
背を向けたままれいかは一言呟いた。
れいか「…あなたってほんとにお金だけはくれるのね。あなたにとって優秀な駒でいるうちは。」

少し虚しそうに言葉を吐き捨てたまま、れいかは杉浦のマンションをあとにした。

杉浦はそんなれいかの後ろ姿を冷めた目でじっと見つめて黙っていた。杉浦のマンションを後にしたれいかは佐久間に電話をかける。

プルルル…

プルルル…

れいかからの着信に佐久間は急いで出た。

佐久間「も、もしもし！」

れいか「もしもし？ねぇ、相談があるの。」

れいかは自動販売機の前でコーヒーを買い、タバコを吸いながら話す。

佐久間「どうしたの？相談事って…僕ができることなら何でもやるよ！」

れいか「ねぇ、今日あなた時間作れないの？」

れいかの唐突な発言に男は驚く。

佐久間「き、今日？」
佐久間は腕時計を確認する。

佐久間「えーっと、夜の20時くらいだったら大丈夫かも。」

れいか「かも？かもじゃだめよ！今日時間作れるの？作れないの？はっきりして？」