謝罪のプライド
「高校といえばさ。【U TA GE】の店員も同級生なのよ。私はあんまり覚えてないんだけど」
思い出したように亜結が清水さんに告げる。私にタクシーが来たことを告げた店員だと伝えると、彼は驚いた様子を見せる。
「あの彼、雑誌にも取り上げられてるんだよ?」
「え?」
「亜結に店の名前教えてもらってから、ちょっとネットで調べたりしたんだよね。そしたら口コミで人気になってるらしくて、先月のタウン情報に載ったんだって。ほら、街で見かけたイイ男みたいなコーナーあるでしょう。そこに」
「凄い、清水さん詳しい」
今の数家くんなら、それも納得だ。
爽やかで物腰も穏やかだし。なんつーかがっついた雰囲気がないんだよね。
観賞するには最高みたいな感じ。
「近くを泳いでいる魚にも、意外と大物がいるかもよ? 初音」
「……どういう意味?」
亜結の意味深な言動に眉を寄せると小声で小さく呟く。
「九坂さんと上手くいってないんじゃないの?」
「そんなことは……ないよ」