謝罪のプライド
月曜日は私の心を写しだしたかのような曇空。薄ら寒くて上着を一枚多く羽織る。
美乃里は今日からシステム開発部の方に移ったはずだ。
技術部とはまた違った知識が必要になるから、彼女もテンパっているかもしれない。
本当ならお昼でも連れだしてあげればいいのかもしれないけど。
嫌だな、私。
美乃里に会いたくないって思ってしまう。
「新沼、悪いがちょっと人事総務部まで行ってきてくれないか?」
「いいですよ」
部長から書類を預かり席を立つ。
不在中は電話をとらなくてもいいから、良い気分転換だ。
人総は一つ上の階にあるので、エレベーターの方に向かう。
すると、止まったエレベーターの中には出先から戻ってきたであろう浩生がいた。
あっちも驚いた顔で私を凝視する。
「お、……疲れさまです」
「……おう」
技術部はこのフロアだ。
降りるだろうと待っていてもなかなか下りないので、仕方なく乗り込む。
もうめっちゃ気まずい。
「下りないの?」
「ああ、お前は?」
「私は人事に行くから」
「一階位なら階段で行けよ」
「ご、ごめんなさい」
いいじゃん、エレベーター使ったって。
行き先ボタンは押されていない。
ここに乗り続けているなら浩生は何階で降りるの。