謝罪のプライド
あの空間から離れて緊張は解けたけど、その分感情が高ぶってくる。
どうしよう。
浩生に怒られた。
浩生に嫌われた。
「……ヤダ」
世界が真っ暗になってしまったみたい。
「嫌だぁ」
涙が止まらなくなる。
こんな顔じゃ電車にも乗れない。かと言ってずっと歩きつづけるのも人目が気になるし。
この並びには、【U TA GE】もある。
そっちに向かって歩きながら、自分で自分に問いかけた。
どうしてそこに向かおうとしているの。
あっちだって仕事中だよ。泣いている女なんか来たら邪魔でしかない。
だけど数家くんなら、多分私を突き放したりしない。
ずるい自分を何処かで自覚しながら、店の前まで辿り着いた。
それでも、賑わってる入り口を見てやっぱり甘えられないと間際で思う。
躊躇いつつ、先日数家くんと話した裏口の方にまわると、ゴミの一時保管庫なのか金属製のケースがあった。
安息の地を得た気分で、その脇にしゃがみこんで泣いた。
もし何か起こっても、ここだったら叫べば誰かが気づいてくれる。
それが数家くんなら、きっと助けてくれるだろう。
そんな風に思えるのは心強かった。