謝罪のプライド
12.甘えられない女の甘え

 恋人同士って、どうやったら別れたことになるのだろう。

結婚だったら離婚届を提出したらっていう明確な区切りがあるけれど、恋人にはそれがない。


 あれから三日がたち、その間浩生とは全く話していない。
会社でも避けられてるのか全然出くわさないし、私も敢えて探していない。

だって怖いし。
もし会社でまで目をそらされたら立ち直れないよ。

電話もメールもないのは、別れた証拠になっちゃうのかな。
それとも今なら、ただ喧嘩してるだけって言えるの?


 誰かに相談したいとも思ったけど、実際何度も亜結をかけかけたこともあるけど、結局やめた。

事の顛末を全部話したら、『数家くんにしちゃえばいいじゃん』ってあっさり言われてしまうような気がするから。

亜結が私のことを真剣に心配してくれてるのはわかるのに、受け入れたくない私はなんなんだろう。



 そして今日は数家くんとの約束の日だ。

もし数家くんが本気なら、ちゃんと自分の気持ちを伝えなきゃ。
お付き合いとかそういうのは考えてないって。

拳を握って気合を入れる。だけどすぐにふしゃーって抜けていってしまう。
ダメだなぁ、私。


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