謝罪のプライド
「他の鍋でもこれは応用できるから、覚えておいてね。他にコラーゲン玉を単品で頼んで追加してみるのもありだよ」
「凄い。これなら一つの鍋でいろんな味が楽しめるね」
私と彼にはあまり共通項がないと思っていたけれど、鍋の説明だけで会話は途切れることなく続いていく。自分の仕事と全く関係のないことだから意地をはらずに素直に聞けるのも、今の私にはありがたかった。
締めにうどんを足したりしたから、鍋が空になる頃にはお腹がパンパンだった。
「ああ、美味しかった。お腹一杯だよ」
「デザートも頼もうかと思ってたのに」
「もう入らない。十分【U TA GE】の良さはわかりました」
「それは嬉しいな。……楽しんでもらえた?」
「うん。凄く楽しかった」
「じゃあさ」
数家くんが姿勢を正した。
ヤバイ?
妙に後ろ暗い感覚が自分を襲う。
「今の彼と別れて、俺と付き合ってくれない?」
先ほどまでの柔らかい態度とは違う真剣な表情だ。急に高鳴った動悸が半端ない。
「……でも」
「高校の時から、新沼さんに憧れてたんだ。でも俺は冴えなかったし、告白しようなんて思えなかった」
そんなに長く?
思わず見つめ返すと、数家くんはあっさりと覆す。