謝罪のプライド

「システムのトラブルかどうか、まだ判別出来ないんです。現象はサーバーの異常ダウンで、営業の田中さんはハードの問題じゃないかと予想しているようです。今その判別を技術部の九坂さんには頼んだんですけど、導入したプログラムの仕様だけでもわからないかなと思って」

「九坂が? ……そう、ならとりあえずは大丈夫かしら。概要だけなら教えれるけど、詳細となると塚原に向かってもらわないと無理だわ」

「とりあえず要因になり得ることがあるか分かるだけでいいんです。朝方に内部負荷がかかるようなものがあるかどうか」


沢木さんは社内保管の仕様書を取り出し、静かに上から眺めていく。


「……そうね。日に一度総バックアップに入るタイミングが午前四時ね。その時には当然負荷はかかるわよね。ただ、アクセスの少ない時間帯ってことでここでバックアップしているんだと思うのよ。そこら辺はちゃんと顧客と確認していると思うけど」

「そうですか」

「営業の田中くんはなんて言ってる?」

「また聞いてみます」


とりあえず、システム設計書のコピーを預かり、ヘルプデスクに戻る。

すると、入った途端に部長に呼ばれた。


「あ、今戻ってきたから代わる。新沼、技術部の九坂からだ」

「は、はい!」


急いで受話器を取ると、落ち着いた浩生の声がする。
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