謝罪のプライド

「私は昔九坂の新人教育もしたことがあるのよ。つっけんどんだけど、一度懐に入れた子の事は大事にするわ。あなたがシステムに来たときも、何度も様子見に来てたのよ? 私に『無理に抱え込むタイプだから頼みます』なんて言うんだもの。さすがの私も勘ぐるわよ」

「……それ、なんで今まで教えてくれなかったんですか」

「内緒だって言われたもの。思わずばらしちゃったけど、もう二年も経つもの、時効よね?」


沢木さんはぺろりと舌を出して笑った。
私は、……泣いてしまいそうだった。

私には分からないところで、浩生は私の事ちゃんと気にかけていてくれたんだ。


「お礼は九坂に言うのね。さ、仕事仕事。今回の件、落ち着いたら報告入れるから」

「はい、お願いします」


大きく頭を下げて、私は自分の部署に戻った。

ファイルを眺めて色々考えようって思うけど。
胸が高揚して興奮して、逆に仕事が手に付かない。

私って、嬉しすぎるとダメになる方だったんだ。それも初めて気づいた。

浩生に伝えよう。
まずは、信じなかったことを謝って。
今日助けてくれたことにお礼を言って。

色々な誤解を解いて。
あなたが好きですと言おう。
まだ浩生が私の事嫌いじゃないなら、傍に置いてって。

もう多くは望まない。
浩生にまだ結婚する意志が無いならそれでもいい。

彼の隣にいられるだけで、私は十分幸せになれる。


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