謝罪のプライド
「新沼さん、こんにちは」
美乃里は塚原さんの背中を見送ったまま、なぜだかそこに居残ってじっと私を見ている。
「お疲れ様」
「はい、疲れちゃいましたぁ」
「休憩行く?」
「はい!」
ちょうど私もキリはいいところだ。
まあ、休憩と言っても業務時間内だから、給湯室のコーヒーだけど。
「坂巻さんも客先着いていったの?」
「はい」
「怒ってたみたいだから怖くなかった?」
「ええ。怖かったです」
会議スペースで向かい合う。
だから疲れてるのか? と覗きこむと、美乃里は私の視線に気づいてにこりと笑った。
「でも私最近分かってきました。ああいうのって冷静な方が強いんですよね。塚原さんも、頭は下げてたけど落ち着いてましたよう。格好良かったです」
「そうね。……最初、九坂さんが行って原因究明してくれたんだよ」
「聞きました。やっぱり素敵ですよねぇ。九坂さん」
「うん。凄いよね」
甘ったるい声を聞きながら、膝の上の拳を握りしめる。
業務時間中にこんな話するのも何だけど、タイミング的には今かも。
思えば、私がずっと美乃里に言えなかったのがいけないんだ。
彼と付き合ってるのは私なんだから。