謝罪のプライド
「あのね、坂巻さん、私ね」
「はい」
「あなたが九坂さんのこと好きだって知ってるけど、でも」
「はい」
「ごめん、私も……なんだ。九坂さんが好きなの」
「それは知ってます。最初っから」
「は?」
美乃里は笑って私を見た。
見とれてる場合じゃないけど、潤んだ瞳や艶のある唇から吐き出される小さく震えた声、それとは対照的なひょうひょうとした態度も、全てが美乃里を綺麗に見せる。
「新沼さん、九坂さんのこと心酔してるなぁって思ってましたし。でも、研修期間中に私の方向かせられたら勝ちじゃないですか」
勝ち負けの問題なのか。
相変わらず美乃里の思考はよく分からないな。
「絶対勝てるって思ってたんです。だって、初日こそ怖かったけど、翌日からは九坂さんちゃんと面倒見てくれたし。私の事気に入ってくれたのかなって思ったんですよ。……でもぜーんぜんダメでしたけど。お二人は付き合ってるんですか? 今思えばあの夜の電話も、新沼さんだったんですよね?」
「う、うん」
「朝帰りさせたのに、よく許せましたねぇ」
いや、まだそれは話がついていないの。
そうは言えず、口ごもっていると美乃里はため息を付いた。