謝罪のプライド
マジマジと見ると浩生が珍しく顔を赤く染めた。
「ここは特別な奴しか連れてこない」
「……嘘」
「嘘じゃない。お前は前からずっと特別だ」
そんな不貞てたような顔して言わないで。
私今日一日でキュン死しそうなほどドキドキしてる。
「いいから早く食え」
「う、うん!」
喉が詰まって苦しくて。
それでもカツ丼は美味しくて、結局最後まで平らげた。
冷たいビールは喉を伝って私の火照りを冷ましてくれるから、幾らでも飲めそうな気がしたけど。
浩生はビールの追加は頼まず、食べ終わるとすぐ店を出た。
「で、返事は」
「え?」
電車から降り、私のアパートへ帰る途中におもむろに浩生が言い出す。
「何?」
「俺はさっきのプロポーズの返事をもらってなくないか?」
「え? あれは返事にならないの?」
「お前返事になるようなこと言ったか?」
言った……と思うけど伝わってないのか?
なんだ、浩生も案外鈍感なんだなぁ。
「も、もちろん『はい』です」
「後悔すんなよ?」
「しないってば」
「じゃあ、今日は覚悟してろ」
色気のある顔でそんなこと言われて、私は真っ赤になりながらそういえば昨日は寝落ちしたから部屋が汚かったことを思い出す。