謝罪のプライド
「俺は最初っからお前のことは気に入ってる」
目元に、頬に、唇に。
繰り返されるキス、キス、キス。
このままがむしゃらに浩生が欲しいって思ったけど。
「とりあえず飯だ」
浩生は体を離すと、私の手を引いて歩き出した。
「ロマンチックじゃないな」
「腹が減ってたら夜中までもたない」
夜中まで、……何をする気なんだ。
そのまま浩生はかつやに入り、いつものカツ丼を注文する。
おばちゃんはニコニコでできたてのカツ丼とビールを持ってくる。
「ビール頼んでないぞ」
「サービス。浩ちゃん車って訳じゃないんでしょ?」
「違うけど」
おばさんは、私をちらりと見て浩生をひじで小突いた。
「仲直りしてよかったね。お祝いだよ」
「あ、そ」
浩生もそっけなく返事したものの、ついでくれるところを見るとまんざらでもないらしい。
「……浩生とおばさんって仲いいよね」
「まあ、一応親戚でもあるから?」
「え? そうなの!」
聞いてないよ。なにそれ。
おばさんは私ににっこり笑いかけると頭を下げた。
「浩ちゃんがお世話になっていますね。女の子を連れてくるのってあなただけだったから、来なくなって心配していたんだよ」
「え?」