謝罪のプライド
「でもじゃない、食え」
「はあ、でもあの」
「ヘルプデスクってのはさ、修理屋じゃねーんだ。必要なのは判別する知識。アンタこれから、他の部署にも行って研修するんだろ? それ全部完璧に覚えられたら今の給料じゃ少なすぎるって。アンタが今いろんな部署の仕事を見させられてるのは、どの仕事がどの部署の範疇か学んでこいってこと。全部完璧にしろってことじゃない。今アンタ、エンジニアの仕事まで覚えようとしてるだろ。それは余計な労力だ」
サラリとそう言って、九坂さんはカツ丼をかっこみ始めた。
自分の履き違えをズバリと指摘されて恥ずかしいと思う反面、目が覚めたような気がした。
それと同時に、安心感に力が抜けてきて張っていた気と共に目尻のあたりも緩んでくる。
「……すみません」
「なんで謝る。……つか、わあっ、なんで泣く」
「や、ごめんなさい。勝手に出てくる……ていうか、……止まらない、です」
「どんだけ気を張ってんだよ。ああもう、なんにも考えず食え。旨いぞ、ここのカツ丼は」
進められるまま、とろりとした卵のかかったカツを一口かじる。
タレが良くからんでいて、噛んだ瞬間肉汁も湧き出てとても美味しい。
頬を伝う涙を手で拭って呟いた。