謝罪のプライド
「……美味しい」
「だろ。しかもここのは安い」
「でもカツ丼って、自白させられるときに食べるイメージです」
一昔前の刑事ドラマを思い出して言うと、九坂さんが呆れたように突っ込んでくる。
「お前、全国のカツ丼屋に謝れ」
「だって。刑事ドラマとかでよくでるじゃないですか」
「真に受けんなよ。はは、お前結構面白いな」
九坂さんは、笑うと目尻にシワが出来て優しい顔になる。
そんな顔ももっと見たい。会社にいる時の仏頂面も嫌いじゃない。
不機嫌なときの冷たい口調も、九坂さんなら決して嫌じゃなかった。
私はもう、彼に夢中になっていたのだろう。
彼に認められたい。仕事の出来ない女だなんて、軽蔑されたくない。
そんな強迫観念にとらわれて、必死で業務をこなし、家に帰ってから自分なりの言葉でそれをまとめた。
CEという職業にはどういうことができるか。
他の職種と連携するのはどんな時か。
彼の言葉を一つ残らず吸収して、彼に認めてもらいたかった。