謝罪のプライド



 それから半年が経つ。
季節は夏を過ぎ秋。
とは言え、生活に何ら変わりがあるわけでもなく、ヘルプデスクは今日も電話が鳴り止まない。


「はい、新沼です」

『新沼ちゃん、田中です。相談乗ってよ』

「田中さん、また?」


おっと思わず本音が出てしまった。

あの騒動の後、田中さんはまず私のせいにしたことを浩生に叱られたらしく、翌日謝りに来てくれた。その後営業部長にも叱られ客先からも嫌味を言われてと、心底落ち込んだらしい。

その後も新しい仕事もとって来るたびに、不安になるのかいちいち相談してくるのが正直面倒臭いったら。
それでも次々と仕事は取ってこれるんだから、田中さんが無能というわけで無いのだろう。


「じゃあ、今から営業部に行きます」


そう言って電話を切り、隣の席を美乃里の肩を叩く。


「しばらく任せていい? 営業部の田中さんとこいってくる」

「またですかぁ? 初音さんは人がいいんですよぅ。田中さんなんか放っておけばいいのに」

「断ってたらヘルプデスクじゃないじゃん」

「責任をこっちになすりつけるような人に付き合ってられないですぅ」


< 183 / 218 >

この作品をシェア

pagetop