謝罪のプライド


お天気は快晴。
秋の涼やかな空気が木々を揺らし、足元に落ちる陰影が模様を形作る。その奥に、白い壁に青い屋根の教会。
一枚の絵のような風景に、私も入っているのかと思うとワクワクする。

やがて教会の扉が開き、白いウェディング姿の亜結が新郎に腰を抱かれながら現れ、恥ずかしそうに幸せそうに微笑んだ。

私や他の参列者が投げるフラワーシャワーが蝶のように宙を舞う。


「おめでとうー、亜結」


私は大学時代の同期と一緒に近くに来た亜結に声をかけた。


「ねえ、ブーケ頂戴、亜結ー」


私達の年代は結婚してる人としてない人が半々位だ。
このくらいが一番焦る。刻一刻と減っていく独身女子枠にいつまでも残りたくないと思ってしまうのだ。
そんな訳で、亜結が手にしているラウンドブーケは、式が始まる前から争奪戦の様相を呈していた。


「ごめん。ブーケトスはしないわよ」


亜結はさらりというと、私に向かってブーケを差し出した。


「これは初音にあげるって決めてるの」


書類でも渡すみたいに軽く私の手にブーケを乗せ、亜結は笑う。
周りの友人達からは、「初音は結婚決まってるじゃん!」と悲鳴のような声を出された。


「九坂さん相手じゃ心配だから、お守り代わり」


なんてことを言うのだろう。
親友ってやつは遠慮を知らなくて困る。

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