謝罪のプライド


 ようやくついた電車を降りると、改札のところに浩生が待っていた。
右手に大きな紙袋、左手にブーケを抱える私を呆れたように眺める。


「……大荷物だな」

「そうだよー。重たいよー。足も痛いよー」

「そんな靴履くからだ」

「だってお洒落したいじゃん」

「今更誰に見せつける気なんだよ」


分かってないな女心が。
誰に見せるでもなくても綺麗にしていたいんだよ。

親友の晴れの日だよ? 
最高の自分で臨みたいじゃないの。

ちょっと悪戯心が疼いて、手を広げて全身を見せる。


「浩生にだよ」


浩生はぎょっとしたような顔をしたかと思うと、私から紙袋を奪い取りながらニヤリと笑う。


「見せられるなら中身のほうがいいな」

「えっ?」


今度は私がぎょっとする番だ。


「帰ろう。ひん剥くのが楽しみだ」

「ひ、ひん剥くって……えっち!」

「男ってなそんなもんだ」


笑って先を行く背中。

追いかけて追いかけて。
今もまだ追いかけていることに変わりはないけど。

するりと手を彼の腕を滑りこませて、甘えるようにしがみつく。


「待って、浩生」

「ちゃっちゃと歩け」


今はこうして、ちゃんと手がとどくことも分かっている。

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