謝罪のプライド
仕事は十八時半で上がらせてもらって、会社を出る前に化粧室で目元を直す。
週末泣き通したので、瞼が腫れている。
いくら九坂さんが私に興味なくても、あんな出来事の後なら自分のせいだと思うだろう。
九坂さんに嫌な想いをさせるくらいなら断ったほうが良かっただろうか。
けれど、結局会いたいという気持ちは消せなかった。
先日の失礼もちゃんと謝って、お説教も甘んじて受けよう。
そして、ただの間抜けな後輩でいいから、これからもお話してくださいっていうんだ。
もう甘い期待はしない。
彼を見ていられるだけでも十分だ。
悲壮な決意をしたものの、やはりカツ丼屋の前で尻込みする。
何人かのお客さんが入口の前に突っ立っている私を迷惑そうに見て入っていった。
頑張るのよ、初音。
自分に活をいれ、ようやく扉を開くと「おせーぞー。こっちだこっち」と九坂さんはこっちが拍子抜けするほどあっけらかんとした様子で笑い、手招きした。
そして、やっぱり私の意見をそっちのけでカツ丼を二つ注文する。
「元気か?」
「は、はあ」
わざと聞いているな、と思った。
瞼腫れまくりだし、振られて元気なわけないじゃん。