謝罪のプライド

「知らない。何時だと思ってるの。お酒臭いし」

「汗もくせーよ。運動したから」


自慢するところじゃないよ。

眠りの深いところで起こされて、私は機嫌が悪かった。


「風呂入ってくるけど。俺、お茶漬け食いたい」

「まだ食べるの?」

「まだまだ食える。頼むな」


浩生は脱いだものを順番に床に落としながらユニットバスへ向かう。

普段、彼の強引さが格好いいと思う時はあるけど、これはイラつく。

一体何様なの。結婚したら亭主関白だよ、絶対。
不満を顔にもろ出しにして、渋々と温かい布団から抜け出る。


ご飯は朝に炊きあがるように予約をしているので、冷凍しているご飯を使おう。
チンしてお茶漬けのもとをかけてお湯を注ぐだけ。
当然準備なんかより、浩生のシャワーの方が遅い。

待っている内に目も冷めてきて、寂しかった土曜日を思い返してイライラする。


大体、自分で出来る程度のことなんだから自分ですればいいのに。


浩生のシャワーが思いの外遅いのも苛立つ原因だ。

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