謝罪のプライド
「どうしたの?」
同じ部署の人たちに頭を下げて、廊下まで出てくる。これで他の人には聞かれないだろう。
電話口の浩生は、ものすごく不機嫌な声を出す。
『なんだよ、あの女』
「坂巻さんのこと?」
『使いもんになるのか? あれ』
一体何をやらかしたのやら。
想像できるような気もするけど。
「彼女今そこにいるの?」
『いるけど、泣いてるから話せねーと思うぞ』
「……詳しく教えてくれる?」
浩生の話では、私の時と同じようにまずはPC設置の案件に連れて行ったのだそう。
美乃里はいつものように可愛い格好で。足どころか屈んだら胸も見えそうだったという。なので浩生はやはり何も指示を出さずに自分の作業に没頭していたのだという。
美乃里は何も言わなかったらしい。手伝わせてくださいも教えてくださいも。
ただ黙って見ていて、やがてその場で泣きだしたのだという。
さすがの浩生も客先だということもあって慌てたらしく、泣くなら近くの喫茶店で泣け、と千円を渡したらしい。そして美乃里は素直に従った。
その時点で、浩生はもうキレ気味だったらしい。