謝罪のプライド
「なんで分かったの、初音」
「え? あっちが覚えてた……ってか、会社の飲み会で予約したから名前で気づいたんじゃない?」
「新沼なんて苗字、そんなに珍しくも無いと思うけどねぇ」
「でも、クラスに同じ名字が居たことは無いよ?」
「まあそうだけどさ。でも、小さな田舎町ってわけじゃないんだから。こんなトコで知った名前聞いたって知り合いだなんて思わないじゃん」
亜結は口元を抑えて考え込んだ。
その指にさっきまでは気づかなかったけど青い宝石が小さく埋め込まれた指輪が光っていた。
「亜結、その指輪」
「え? ああ。彼がくれた。婚約指輪とかじゃないよ? 安物安物。案外独占欲強くてね、とにかくつけとけって」
「そうだ! 彼って。半年前にあった時は彼氏居ない言ってたじゃん! どうして急に結婚までって話になったの」
亜結のめでたい話を思い出して、話題は吊し上げ方向へと向かっていった。