謝罪のプライド

『今日は俺、休みなんだ。ちょっと忙しい時間だけ頼まれて出てきたけど、もう帰るところ』

「あ、そうなの」

『初めてかけるのに九時過ぎると悪いなって思って。ちょっと慌ててかけた』


あはは、と笑う声が響く。
そんなに気を使ってくれなくてもと思う反面、なんだか嬉しかったりもする。


「平気だよ。いつも十一時ぐらいまで起きてるし」

『そう? じゃあ今度はもう少し遅くてもいいかな』

「うん」


いい……けど。今度があるの?
私と数家くんが電話するのって変じゃないのかな。元同級生ってだけなんだし。


『昨日ちゃんと帰れた?』

「あ、うん。ありがとう。お陰様で」

『あの後、一時間位でお二人は帰っていったよ。別に、新沼さんが心配するような感じでもなかったよ? 女性の方はノリノリだったけど、男性の方はただ応対してるって感じ。ただ同僚が飲みに来たってだけみたいだった」

「あ、そう?」


ちょっとホッとしたりして。
そういうことを浩生が自ら教えてくれるならなおいいんだけどなぁ。


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