ずっと前から君が好き


なんだかんだで役割分担は、
俺と銀は、楽な花の水やり係り。

蒼太は頭が良いことから、まさか先生の直々の推薦で学級委員となった。



それから先生の自己紹介を終えて、
入学式だけの今日は授業はなく、俺たちは寮に帰宅。

そして明日から始まる授業の準備をしていた。

「明日から勉強が始まんのかー...めんどーい!」

「お前はバカなんだから、しっかり勉強しろよ?銀。」

「えー!そりゃないよー!!蒼ー!!」

二人の会話を聞きながら、俺が教科書の整理をしていると、
銀が思い出したかのように言った。

「そういえばさぁー、優也って引っ越してきたんだよね?
なんでわざわざここの学校にしたの?」

「あぁ、それは俺も聞きたかったな。どうしてだ?」

真剣な顔で聞く二人に話すのは、ちょっと言いづらいが、そんな期待のまなざしをされては言うしかなかった。

「...あー、えっと、実は俺、会いに来たんだよ。」

「「えっ?」」

二人の声が重なる。

「前、話したことあったろ?幼なじみの子の話。」

「あー、女の子だけど男らしい性格って子だろ?」

蒼太が言った言葉に俺はうなづいた。

「あぁ。俺、ずっとその子のことが好きでさ、でも言えなかった。
昔の俺は、前も言ったけど弱虫で泣き虫だったから、そんな俺が伝えていいのかって。
それで、なんだかんだしてるうちに、親の都合で引っ越すことになって、そのまんまだったんだけど、中学を卒業したら、ここに戻ってこようって思ってた。
その子がいない場所で強くなったら、伝えられるんじゃないかってそう思ったから。」

「ふーん♪そして、伝えに戻ってきたっと。」

ニヤニヤしながら言う銀に少し照れながら、俺は"あぁ"とうなづいた。

「いいと思う。俺、そういうのけっこう好きだ。」

蒼太は小さく笑ってそう言うと、続けて口を開いた。

「でも、お母さんたちよく許してくれたな?」

「まぁ、押し切ったって感じだけどな。性格は変われたけど、体はどうにもできないから体育の授業とかで無理しないってことと、激しい運動はしないっていう条件付きでここの学校に通えたってわけなんだ。」

「そうだったのか、お前も大変なんだな...。」

「えっ?お前"も"ってなんだ?」

「いや、なんでもないよ。
まぁ何にせよ、お前の体のことは、そばにいる俺らも注意しておくから、安心しろよな。」

「あ、あぁ..ありがとな。」


さっきの蒼太の言葉は気になるけど、まぁいいか!


そんなことより俺は、この二人と出会ってからつくづく思う。


「俺も俺も!!優也のこと助けるから安心してね!!」

「あぁ!銀も蒼太もありがとう!!」

"二人に会えてよかった"と。

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