ずっと前から君が好き
"授業開始!"


「次、23ページ開け~。」

数学の山岸先生が、黒板に白色のチョークで公式を書きながら指示を出す。


うーん、けっこう難しいな...。


そう思いながら教科書と睨みっこしていると、先生は、俺の後ろの奴を睨んでいた。

そっと振り返ると、やっぱり銀のやつが机に突っ伏して寝ていた。


「またか...。」


俺の隣で、呆れ顔の蒼太が呟いた。

それに苦笑いをしていると、先生が動いた。

「宮田っ!宮田銀っ!!」

教壇から先生が大声で叫ぶが、ムニャムニャと声をたてるだけで、銀は起きる気配がない。

俺も起こそうと体ごと後ろに向いたとき、

"キーンコーンカーンコーン"

と鐘が鳴り響いた。

「……これで、授業は終わりだ。ったく…!」


やっちまったな…銀…。


先生の言葉と共に、心の中で俺は手を合わせた。

なぜなら先生は呆れ果て、俺の右隣では、蒼太がフルフルと震えるほど怒っているからだ。


今回はやべーぞ、銀。主に蒼太からのお仕置きが…。


そんなことを考えて銀に忠告のオーラを送っていると、先生に名前を呼ばれた。

「篠原、吉野。次の昼放課、無理矢理でもいいから、バカ宮田を職員室に連れてこい。」

「はい、わかりました。」

「は、はぁ…。」

素早く返事した蒼太とは裏腹に、俺は曖昧に返した。


先生、蒼太…目が怖えーよ…。


まったく同じ目をしている二人に怯えながら、数学の授業は終わった。
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