バターリッチ・フィアンセ
「……あー、ダメだ、眠い。お休み、織絵」
「はい、おやすみなさい」
最近の昴さんは疲れているのか、行為のあとですぐに寝てしまう。
ブログの更新も、随分お休みしているみたいだ。
それでも三時半にアラームが鳴ればきちんと起きるし、仕事中に疲れた表情は見せない。
無理をしているんじゃないかと思ってそう聞いても、「へーき」と笑ってやり過ごされるだけ。
私にできることといえば、今まで昴さんに任せきりだった食事の支度を手伝ったり、彼が甘えて来たらそれを受け止めたり。
厨房での作業は私にできることには限りがあるから、できるだけ私一人でお店に出て接客を担当させてもらったり。
それくらいのことしか、できなくて。
「昴さん……」
隣で寝息を立てる彼の、ハニーベージュの髪に手を伸ばして、ゆっくりと撫でる。
それから少し痩せたようにも見える頬に触れると、私は身体を少し移動させて、眠っている彼の唇にそっとキスをした。
「何か、苦しんでいるのなら……私に八つ当たりしてもいいのに……」
優しくされるのは嬉しい。
だけど、彼の目的を思えばその態度が腑に落ちないことも確か。
もしかして……私のせいで苦しんでる?
私が側にいるのは、昴さんにとって心の負担になってる……?
そこまで考えるとふるふる首を横に振り、私も明日の仕事に備えて眠らなくちゃ、と無理やりに目を閉じる。
何があっても彼の側を離れないって決めたじゃない。
弱気になるな、織絵――――