バターリッチ・フィアンセ
かなり俺を心配している様子の達郎だったが、織絵とのことをそれ以上詮索してこないのは助かった。
帰ったら美和には怒られるんだろうが、それよりも俺を傷つけまいとする心遣いが、達郎らしいと思った。
夕方になると、山梨に残してきた美和が心配だからと立ち上がった達郎を、俺は玄関まで見送った。
「……じゃあ、今日の所は帰るけど。近いうちに今度はみーちゃんも連れてくるから」
「はいはい。美和、お大事にな」
「ちゃんとメシ食えよ?」
「子供じゃねーんだから。過保護だって」
「……とにかく、また来る」
最後の達郎の表情は硬いものだった。
俺、そんなにうまく笑えてないんだろうか。
薄暗い洗面所で鏡を覗いてみたものの、ここ数日手入れを怠って伸びた無精髭以外は何も変わってないように見える。
そのままシャワーを浴びてしまおうかと着ていたTシャツを脱いだところで、自分の上半身を撫でてみて気がついた。
「まあ、確かに……ちょっと痩せたかもな」
空腹感はないが、達郎にも口うるさく言われたし。
シャワー浴びたらコンビニでも行って何か口に入れておくか……