バターリッチ・フィアンセ
さっきまであんなに眠たかったのに、念願の布団にたどり着くことができた今、私の目はぱっちりと冴えている。
そして、離れた場所で聞こえるシャワーの音が止まったのを耳が感じ取ると、いよいよ心臓は激しく暴れ出した。
別に、昴さんは私にどんなお仕置きをするとは明言してない。
だけど、あの彼の言うお仕置きだもの……“そういうこと”だと身構えて、緊張するのも仕方のないことだ。
先に寝てしまえればよかったけれど、この状態ではとうてい無理。
狸寝入りを決め込んだところで、あっさり見破られてお仕置きの程度がレベルアップしてしまったら困るし、と、私は落ち着きなくごろごろと寝返りを打つばかりだ。
そうしているうちに、ぎし、と階段が軋む音がした。
き、来た……っ。
一層大きく跳ねた胸を手で押さえながら、目だけを布団から出して彼の姿が見えるのを待つ。
すると――
「……っ! な、なんで裸なんですか!?」
「え? だってシャワー浴びたばっかで暑いし。これから織絵といーことすんのに必要ないでしょ」
その言い方……昴さんは確実に、“そういうこと”やる気だ。
下はスウェットを穿いているものの、ここへ来た初日にも見せられた綺麗な上半身をさらして私の隣に寝転んだ昴さんを、私は直視できずに天井を睨む。
「さて」
「…………っ」
掴んでいた布団が呆気なく剥がされ、私は思わず体を丸めた。
もちろん私は服を着ているけれど、Tシャツにショートパンツでは、昴さんから身を守るヨロイとしては頼りなさすぎる。