彼は、魔法使い
あたしは、悟さんがシャンプーする姿を眺める。


、、、あたし、最後にシャンプーしたのはいつだっけ?


今じゃ、思い出せない。


スタイリストとして、お店に立っていたことも、、、


誰かにカラーをしたのも、カットをしたのも、、、


今じゃ、とても遠い昔に思えてくる。


そんなことを思っていたあたしに、直樹さんが耳打ちする。


「悟は、志麻の男だぞ?」


この人は、何を勘違いしているのだろうか?


そんな気持ちで、悟さんのことを見ていたわけじゃない。


「直樹さんの頭には、人の色恋しかないんですか?」

「男なんて、そんなもんだ」


そんなもんって、あんただけでしょ!

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