彼は、魔法使い
あたしは急かすことなく、イチカの次の言葉を待つ。


この長さまで、髪を伸ばすために、、、


イチカがちゃんとケアをしていたか、あたしは知ってる。


だからこそ、イチカの髪はキレイだった。


触りたくなるような、サラサラヘアだった。


だから、その髪たちを切るのに、、、


どれだけの勇気が必要か、あたしはわかっているつもりだ。


だから、、、あたしは、待つ。


イチカが新しい自分と出会う、扉を開いてくれるのを、、、


「その髪は、もう死んでる。生き返ることはねぇよ。なぁ、伊織」

「まぁな。せめて、ボブ。3、40センチは切らねぇと、どんなに良いヘアも作れねぇ」


來都の言葉に、伊織が答える。

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