風の詩ーー君に届け
窓辺から風が入るたび仄かな香りが漂ってくる。




そう、いつもより音色が優しいのは、この香りのせいだ。




花が咲く前の鮮やかな赤紫色から白へと、一変する花。




一皮剥けた……そんな自分を見てほしい。



悩んで荒んでいた、5年前とは違う。




音楽は今、確かに僕の胸の中にある。




今、この指で奏でうる限りの音を聴いてほしい。



そんな願いを込めた。





穏やかな風に甘く香る羽衣茉莉花(はごろもジャスミン)




白く小さな花を思い浮かべた。




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