風の詩ーー君に届け
小さな村の騒動で、詩月は初めて聖諒学園が開校当初から学園内で噂されている伝説を知った。




ヴァイオリンロマンス。



正門の中央に設置されたヴァイオリンを弾く女神像には対となる男神像があり、竪琴を背負い女神像を見守っていると云う。




そして、ある条件を満たすと女神像はヴァイオリンを男神像は竪琴を共に奏で、その音色を聴いた者は恋を実らせ、音楽の祝福を受け、成功を納めると云う伝説。




竪琴奏者と聞き、詩月が思い浮かべたのは幽玄の竪琴奏者「オルフェウス」だった。



ギリシア神話に語られる、トラキアの詩人であり音楽家。


竪琴の名手で、その音色に野獣も自然も聞き惚れたと言う。



ある時、オルフェウスは蛇に咬まれて死んだ妻、エウリュディケを冥界へ迎えに赴いた。



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