風の詩ーー君に届け
「負けたくないと、心底思いながら呼吸が乱れて、

息をつくのがやっとだった」




俯き、楽譜を見つめる詩月の肩が、微かに震えているのがわかる。




「お前は我慢しすぎだ」



安坂はポツリ言ってみる。



楽譜を見つめる、詩月の碧い色の瞳が戸惑ったように安坂を見る。




「耐えてばかりでいる必要なんてない。

半年も耐えてるなんて……反撃しないにしても、文句の1つくらい……」




「言葉で通用する世界でしょうか?

……そうは思いません。

実力を、彼らを黙らせるだけの演奏を。

それしか状況は変わらない」




真剣な眼差し、声に力がこもる。




「ったく、『出る杭は打たれる』って言葉を知ってるか?」




「出る杭……ですか……」



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