風の詩ーー君に届け
安坂はチラと時間を確認し、ハンドルを切る。



何とか時間に間に合わせてやりたいと思う。



頑張れを胸の中で、何度も口には出さずに繰り返す。




タイムリミット、5分前。


目的地につき、急いで車を駐車させ、詩月と安坂は練習スタジオの扉を開けた。




「えっ……」



唖然とする。

扉を開け、2人は立ち尽くす。




「誰もいないなんて……」


詩月が溜め息のように言葉を漏らした。




気を取り直し、上着に入れたスマホを手に取り開く。




急ぎ確認のメールを打つ。



今居る場所、誰もいないこと、練習場所を尋ねる内容を手短に。




間を置かず、折り返しメールが届いた。




「スタジオの時間調整が間に合わず、OFFになった」



画面を見つめる詩月の瞳から、穏やかさが消えた。




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