風の詩ーー君に届け
スタジオを出て、ヴァイオリンをケースから取り出す。
茜色に染まりかけた空の色が、淡く広がっている。
詩月はゆっくりと空を見上げた。
胸にそっと手を当て、気持ちを落ち着けると、素早く調弦をしヴァイオリンを構える。
凛とした立ち姿に悲壮感はない。
さすがだな――。
気持ちの切り替え方がうまい。
安坂は心配する必要ないと思いながら、後部座席に乗せたヴァイオリンケースを開け、ヴァイオリンを手に取る。
背筋を伸ばし、颯爽と弓を弾き奏で始めた音はハッとするほど清々しい音色だ。
「あっ!」
安坂が思わず声を漏らす。
詩月の後ろ姿に大学の裏門に建つ、男神像「オルフェウス」が重なって見えた気がした。
茜色に染まりかけた空の色が、淡く広がっている。
詩月はゆっくりと空を見上げた。
胸にそっと手を当て、気持ちを落ち着けると、素早く調弦をしヴァイオリンを構える。
凛とした立ち姿に悲壮感はない。
さすがだな――。
気持ちの切り替え方がうまい。
安坂は心配する必要ないと思いながら、後部座席に乗せたヴァイオリンケースを開け、ヴァイオリンを手に取る。
背筋を伸ばし、颯爽と弓を弾き奏で始めた音はハッとするほど清々しい音色だ。
「あっ!」
安坂が思わず声を漏らす。
詩月の後ろ姿に大学の裏門に建つ、男神像「オルフェウス」が重なって見えた気がした。