ねこにごはん【完】



こんなにも次の当番の日を待ち遠しいと思ったのは初めてかもしれない。

私はいつにもまして軽い足取りで庭に向かっていた。
それはもう、このままスキップしちゃうんじゃないかというくらいにご機嫌なオーラを漂わせて。
キャラじゃないから勿論それを実行にうつすことはないのだけれど。

そうして庭についた私は穏やかに照る太陽のもと、普段通り淡々と水やりを行っていた。
もうじき社会通念で言うところの秋がやってくる。
それを実感させてくるかのように、風には僅かな冷たさが感じられた。

日が出ているお陰で寒いとまではいかないけど、部活で帰りが遅くなった時のためにそろそろカーディガンを持ってくるようにした方が良いかも。
そういえば秋はサンマが旬だなぁ、なんて季節感のあることを考えながら作業を続けていると、背後から耳をくすぐるような声がして、私の表情はスイッチを押されたかのように明るくなった。
< 9 / 48 >

この作品をシェア

pagetop