ねこにごはん【完】
「これでいーのぉ?」
「うん、ありがとう」


思いの外早く戻ってきた菊地原くんからじょうろを受け取りメロンパンを返す。
菊地原くんはメロンパンにかじりつきながら、私が花壇に水をやる様子を見ていた。

たまに「あ~ん」と言いながら口を開けていたけど、もしかして無意識の癖なのだろうか?だとしたらそれは反則だ。
黙っていても抱き締めたいほど可愛いのに、そんな萌えるような仕草を頻繁にされては私の理性が持たない。
と言いつつも、なんだかんだで堪えるのが私です。

じょうろの中の水が無くなったのと同時、食べ終わったメロンパンの袋をくしゃりと丸めた菊地原くんが、突然花壇の前にしゃがみ込んだ。
何をするのかと思いきや、どうやら芋虫を見つけたらしく「これ奈良の机にいれてやろ~」なんてイタズラな笑みを浮かべていた。

うん、可愛い。
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