めぐりあわせ





「かえで化粧品の社長」



杉本さんが小声で教えてくれた。



かえで化粧品は、かなり有名な化粧品の会社。



あの坂田さんっていう人は、かなりやり手のキャリアウーマンで、よくテレビに出ている。



「坂田さんの自宅は、中原が担当して、それから坂田さんのお気に入りなんだ。別荘は俺が担当したから、俺とも繋がってて、今日招待したんだ」



「あっ…そっそうなんですか」



「そんなこと言われてもって感じだよなっ」



杉本さんは苦笑した。



「君だったんだね」



「えっ?何がですか?」



「中原が気になってる子っていうのは」



「…」



「あいつがあんなに本気になってるのって初めて見たよ」



「え?」



「告白されたんでしょ?あれで結構緊張してたみたいだし…
あいつ、なんでもさらりと言うけど、内心はドキドキしてるみたいだよ」



「そっそうなんですか?」



「俺が言うのも何だけど、いい返事してあげてよ」



「…」



急な話の展開に頭がついていかなくなっている。



揺らぐ気持ち…



戸惑ってしまう…




< 68 / 138 >

この作品をシェア

pagetop