ロスト・クロニクル~後編~

 心を許せる人物がいれば、何があっても大丈夫。アルフレッドは暑苦しく時々鬱陶しく思えるが、彼の性格は真っ直ぐで決して裏切ることはしないだろう。また王家への忠誠心が高く、これから先共に王家の発展の為に尽くしていけるのではないかと、エイルは嬉しく思った。


◇◆◇◆◇◆


 翌日、いつものエイルに戻ったことにシードは安堵する。自身の一任でアルフレッドに決めてしまった手前、エイルが精神の不調で退役となったらリデルを含め部下達からの信頼が失墜してしまう。また隊長の地位を譲ってくれたフレイに申し訳なく、合わせる顔がない。

 だからエイルの顔から迷いが消えていたことに、現在の状況を受け入れたのだとわかった。これで戦力として期待でき、リデル同様にメルダースで学んだ高い知識を大いに役立てて欲しいと頼む。シードの命令にエイルは力強く返事を返すと、立ち直りの機会を与えてくれたことを感謝する。

「礼を言われることはしていない。君に期待しているからこそ、アルフレッドに任せただけだ」

「だから、アルフレッドが……」

「これで立ち直ることがなかったら、親衛隊の一員としての見込みがないと判断し、除隊させていた」

 勿論、シードの言いたい意味が痛いほどわかる。使えないとわかっている者をこのまま親衛隊に残しておいても、邪魔にしかならない。しかしシードはエイルの立ち直りを期待していたので、アルフレッドに命令を下しエイルの気分転換を図る。結果、見事に立ち直った。

「このことは、父には……」

「知らないのか?」

「今回は、気付かれずに済みました。ですので、このようなことをお願いするのは憚れることですが……」

「フレイ様の恐ろしさは、身を持って知っている。あの方は逞しく立派で、凡人の我々では追いつけない。わかった、いいだろう。しかしこのような頼みを聞き入れるのは、これで最後だ」

「わかっております」

 許されるのが一度だけであっても、父親の圧力から逃れることができるのならこれほど有難いことはない。また、国が置かれている危機的状況を聞いていながら、女王シェラの前で精神の弱さを露呈してしまう。これを聞いてフレイが怒らないわけがなく、何を言われるかわかったものではない。
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