ロスト・クロニクル~後編~
「前に聞かなかったが、どうしてクローディアに? クビになったと聞いたが、だったら実家に戻ればいい」
「言ったようにメルダースを卒業しても、あいつの場合は簡単に就職先が見付かるわけがない。何というか……性格が悪い。それに背負っている借金の量が量で、普通の就職先では返済できない。聞いた話では両親との仲は悪くないようだけど、帰り難いんだろう。お前と同じで」
「俺と?」
「親の期待に反して、あのように成長してしまった。いくらメルダースを卒業したとはいえ、悪い部分が多い」
「借金か」
「言えるわけがないだろう」
「確かに」
最高峰と呼ばれているメルダースで学んでいる時点で、誇らしいもの。しかし学園生活は両親が思っているほど有意義なものではなく、学園長を含め多くの教師の頭痛の種と化す。最悪な面といえば、大量の借金を抱えたということか。これでは、流石に実家に帰るわけにはいけない。
「借金の返済は、できそうか?」
「努力次第」
「お前が言うと、実感が篭っている」
「そうか?」
「そいつと違って、お前は真面目に勉強して卒業している。言っちゃ悪いが、差が違いすぎる」
「有難う。そう言っても、何もでないよ。で、毛刈りだけど……いいのか? ほら、お前が全部」
毛刈り体験用に捕獲した羊が、群に戻ってしまった。それも、アルフレッドに全ての毛を刈られた涼しい姿で。エイルの指摘にアルフレッドは間の抜けた声を出しやってしまったという表情を作ると、もう一匹羊を捕まえて来ると言い、羊の群に向かって突進していく。
次にアルフレッドが捕獲してきた羊は、一匹目のように毛が多い羊ではない。小柄というより大柄の羊で、体格の面を見て大量に毛が刈ることができると胸を張って力説する。アルフレッドは使用していたハサミを手渡すと、これで早速毛を刈ってみようと促してくる。
毛の刈り方はアルフレッドのやり方を見ていたので何となくわかるが、羊を大人しくさせ横たわらせる方法がわからない。方法を間違えて蹴られたくないのでそれだけはやって欲しいと頼むと、アルフレッドは慣れた手付きで先程と同じように羊を地面に横たわらせた。