マラカスの男
都会のビルの綺麗さは、俺を萎縮させて恐怖感さえ覚えさせるのだ。
元々が田舎者なんだなと言うより一種の精神的な病に近いと俺は分析している。
沖縄は、そういう面で俺を開放的にさせてくれたしこんなに素晴らしい場所が日本に有るとは思ってなかった。
綺麗な海や自然も確かに素晴らしいが、この雑多な感じと不潔な感じが俺は好きなのだろう。
トイレに行くとそこは、いくら不潔が嫌いではない俺でも辟易させられた。
床は水で濡れて吐瀉物が隅の方に寄せられている。
男女も別れていないが、広さだけは有り奥に女子用か大便用の個室があるようだが、こんな所でするなら外で夜空を見ながらした方が良い気がした。
俺は、急いで小便を済ませた。
個室のドアがいきなり開いたのに驚き俺は外に出ようとした。
女性なら何となく気まずいからだが、目の端に捉えたのは、大きな男だった。
男が出ようとしている俺に、内地の人だろうと声を掛けて来る。