マラカスの男

俺は、仕方なく男の方に振り向き、そうだと短く答えた。


男は、俺より十センチは背が高く百八十センチは有るだろうと思え体重は百キロ有るのではと思える大男だった。


着ている薄汚れた白いTシャツから乳房が女のようにたれて見えた。


ビーチサンダルを履いて金髪にしているが、頭頂部から黒い髪がかなり出ていて、髪もくしゃくしゃだった。


短パンから出ている太い足を掻きながら、ニヤニヤした顔を俺に向けた。


歯が小さく歳は俺より若いのか少し上くらいか検討がつかないが、俺は男を見た瞬間から嫌悪感を抱いた。


歯の感じからトルエン中毒か何かだろうと思えたしこんな所で話し掛けて来る奴にろくな人間はいないだろうと俺は、少し身構えた。


お兄さん、買わないか?何でも有るよと男は言うとトイレに戻り大きなビニールバックを取り出して来た。


俺も、ナイチャーなんだよ。お互いにナイチャーなんだから安くしとくよ。


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