ガラスの靴じゃないけれど


「うわぁ!」

彼はこの場所を『俺の家』と言ったけれど、本当は『俺の店』が正解のはず。

だって私が思わず声を上げてしまった理由は、彼の家の中がある物で溢れていたせいなのだから。

「響さんのおうちって靴の修理屋さんなんですか?」

「修理もするし、オーダーメイドも受け付ける」

オーダーメイドといえば真っ先に思い浮かぶのは、ウエディングドレス。

自分だけの特別なドレスを身に纏って結婚式を挙げるのが、実は幼い頃からの夢だったりもする。

「オーダーメイドって...靴を手作りするんですか?」

「ああ。そうだ」

靴がオーダーメイドできることを知らなかった私は、興味津々で彼の店の様子を見回した。

お世辞にも広いとは言えない店内に入るとカウンターがあり、その奥には作業台が並んでいる。

その作業台の上に置かれているのは、まだ製作途中の靴や修理が必要な靴たち。

そして、さらにその奥には見慣れない用具と、人の足形をした模型のようなものがズラリと並んでいた。


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