ガラスの靴じゃないけれど


そんなに私の歳が衝撃的だったのかと落ち込みながらも、切実な思いを伝えずにはいられなかった。

「あの!このパンプス...直りますよね?」

彼は舐め終えたキャンディーの棒をポイッとゴミ箱に捨てると、自信あり気に胸を張った。

「オマエ、俺を誰だと思ってんだよ。これくらい直せるに決まってんだろ」

誰だと聞かれても.......。

あなたの名前は響さんで、この光が丘駅北口商店街で靴屋さんを営んでいることしか私は知らない。

でも、そんなに自信満々なら、きっと彼はすぐにパンプスを直してくれるはずだと思った。

もしかしたら、童話の“こびととくつや”のようにウトウトと居眠りをしている間にパンプスが直っているかもしれない。

そんなロマンチックなことを考えていた私は、彼のひと言に戸惑いを隠せなかった。

「一カ月後」

「え?」

「一カ月後に取りに来い」

「一カ月後...」

「そんなに待てないなら、他の店に修理を出しても構わない」


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