ガラスの靴じゃないけれど
靴職人として彼の腕前が一流なのかどうかということも、私は知らない。
でも節くれだった彼の手を目にした瞬間、この人になら修理を任せられると思った。
「よろしくお願いします」
「ああ。オマエの大事なパンプスを元通りにしてやる。任せろ」
彼の言葉は、私をお姫様抱っこしてくれた時のように頼りがいがあり、安心できるものだった。
だから気が緩み、聞かれていないのについ、パンプスの思い出を語ってしまった。
「そのパンプスは、祖母からのプレゼントなんです」
「そうか」
「はい。それなのにヒールが折れるなんて...。私の履き方が悪かったのかな」
祖母からもらったこの8センチヒールのパンプスは、甲の部分にリボンがあしらわれているデザインも色も私好み。
それなのに、こんなことになってしまい、祖母に対して申し訳ない気持ちが胸いっぱいに広がった。