ガラスの靴じゃないけれど


靴職人として彼の腕前が一流なのかどうかということも、私は知らない。

でも節くれだった彼の手を目にした瞬間、この人になら修理を任せられると思った。

「よろしくお願いします」

「ああ。オマエの大事なパンプスを元通りにしてやる。任せろ」

彼の言葉は、私をお姫様抱っこしてくれた時のように頼りがいがあり、安心できるものだった。

だから気が緩み、聞かれていないのについ、パンプスの思い出を語ってしまった。

「そのパンプスは、祖母からのプレゼントなんです」

「そうか」

「はい。それなのにヒールが折れるなんて...。私の履き方が悪かったのかな」

祖母からもらったこの8センチヒールのパンプスは、甲の部分にリボンがあしらわれているデザインも色も私好み。

それなのに、こんなことになってしまい、祖母に対して申し訳ない気持ちが胸いっぱいに広がった。

< 25 / 260 >

この作品をシェア

pagetop