ガラスの靴じゃないけれど


けれど、そんな穏やかな雰囲気を壊したのは、眉間に皺を寄せた望月さんだった。

「松本チーフ。俺は一条さんが受付をするのは反対です」

「どうしてだ?女性がニコニコしながら受付をすれば、場も和むだろ?」

「きっと当日は荒れます」

「それくらいわかっている。だから一条さんには受付が終わったら帰ってもらうつもりでいる」

お互いに一歩も引かないやり取りが目の前で繰り広げられている様子は、迫力満点。

当の私を差し置いて、問題点を論議し合うふたりを仲裁するように声を上げた。

「あの!質問していいですか?」

「あ、ああ」

松本チーフは少しだけエキサイトしてしまったことを反省するように、俯きながら頭を掻いた。

「住民説明会が荒れるってどういうことですか?」

再開発プロジェクトは問題なく進行して、明後日の住民説明会は形式的なものだと思い込んでいた。

“荒れる”の意味が分からない私に向かって、松本チーフは両腕を前に組むと渋い表情を浮かべた。


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