ガラスの靴じゃないけれど


「実は光が丘駅北口商店街の住民から、再開発プロジェクトに反対する意見が出されている」

「え?そうなんですか?」

「まあ、立ち退きの問題とか日照権の問題とか、反対意見が出るのはそう珍しいことではないのだが...」

今まで私に向かって説明をしてくれていた松本チーフの視線が、望月さんに移動する。

「ただ稀に、主張が強い輩がいるもの事実だ。だから望月は一条さんが受付をすることに反対した。だろ?」

松本チーフの遠回しな質問に対して、望月さんは少しも躊躇うことなく口を開いた。

「はい。俺は、一条さんを危険な目に遭わせたくありません」

私と付き合っていることは、内緒にして欲しいと言っていたくせに......。

ピンチのヒロインを守ってくれる騎士(ナイト)のような言葉を、望月さんは恥ずかしげもなく口にする。

松本チーフの目の前で、そんな大胆なことを言っちゃって大丈夫なのかしらという気持ちと、私を心配してくれて嬉しいという気持ちが入り混じった。


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