泣き虫王子と哀願少女
「ぐふぅっ」
ガターンッ!……バサバサバサッ……
潤君の一撃をくらった先生が、すごい勢いで本棚へと吹っ飛んだ。
ぶつかった衝撃で、収まっていた本達が盛大な音を立てて先生へと降り注ぐ。
「くっ……」
余程ダメージが強かったのだろう。
その場にうずくまったまま、なかなか起き上がることが出来ない。
しかし怒りが止まない潤君が、そんな先生に間髪入れずに更につかみかかった。
「許さねぇっ」
「ひっ……」
完全に腰が引けている先生の胸ぐらを再びギリギリと締め上げ、右手の拳を高く振り上げる。
渾身の力をこめてその拳を振り下ろそうとした次の瞬間 ――
「だめーっ!」
「っ!?」
私は潤君の右腕にしがみついたのだった。