泣き虫王子と哀願少女
先程の喧騒が嘘だったかのように、シンと静まり返る教室。
ふと見上げれば、リカちゃんが真っ青な顔で目を見開いたまま、呆然と立ち尽くしていた。
「リカちゃん……」
「っ!」
私の声に我に返ったリカちゃんが、カタカタと体を震わせながらゆっくりと後ずさる。
「わ、私……私は……関係ないわよ……」
「リカちゃん……!」
「た、たまたまこの教室に用があって……寄っただけなんだからっ……」
「!?」
「ねっ? 潤……! 潤なら信じてくれるよね?」
そう言って潤君の胸にしがみつくリカちゃん。
涙でいっぱいの瞳で、助けを求めるように潤君を見上げている。
そんなリカちゃんの瞳を複雑そうな顔で見つめ返し
「宝生……。お前もグルだったんだろ?」
「っ!?」
悲しそうな声で潤君が呟いた。